日本海にのぞみ、豊かな自然に恵まれた若狭は、古代、海産物や塩など豊富な食材を都に送り、皇室の食を支えた「御食国(みけつくに)」のひとつ。
食を通じた、朝廷や貴族との結びつきから始まった都との交流は、一千年以上の往来を通じ、たくさんの社寺や文化、祭礼などの、多彩で密度の高い文化遺産群を形成しました。
その若狭おばまで、江戸時代に入ると鯖が大量に獲れ始め、若狭湾内のあちこちの漁港に、鯖でギッシリのトロ箱が続々と積み上げられました。
若狭の人は足が早いその鯖に、一塩して京都まで担いで運んだのです。
そのルートが、後に「鯖街道」と呼ばれるようになりました。
今でも京都と若狭をつなぐ鯖街道では、京都の美食文化を支える「若狭の美物(うましもの)」が運ばれ、1500年続く往来の歴史と、伝統を守り伝える人々の営みを肌で感じることができるのです。