浜インタビュー

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網元漁師と新たな取り組み in 宇久漁港

ゴールデンウィーク後半の5月7日、小浜市の宇久漁港に一行でおじゃましました。

今回お話をうかがったのは、とても気さくで笑顔が素敵な「浦谷 俊晴(うらたに としはる)」さん。宇久で定置網漁業を営んでおり、今年から宇久、加尾、西小川の3地区が協力して始めたサーモンの養殖にも携わっています。

この日は最高にいい天気。出荷用の養殖サーモンの水揚げに、連れて行っていただきました。

サーモン生簀(いけす)に向かう漁船に乗り込み、船が漁港を出発すると・・・
近くで遊んでいた子どもたちが「いってらっしゃーい!」とお見送りをしてくれました。

船を走らせていくと、直径25メートルの巨大な円形生簀がお目見え!ここでサーモンを養殖しています。ただし、出荷前に専用の生簀に移し替えるそうで、今回はその生簀のサーモンを見せていただきました。(右下写真)出荷用生簀でも大きく感じます。

円形生簀
出荷用生簀

生簀の中では、たくさんのサーモンが活発に泳いでいます。どんなエサを食べているのでしょうか。聞いてみると「競争があるから中身はあまり言えんけど」と、笑いながら教えていただきました。エサは、7割ほどが魚粉なんだそうです。それも、質のよい魚粉を与えているとのこと。
地元、福井県立大学の協力を得て、配合飼料の成分分析を行い、サーモンに最も適した配合飼料を選んだそうです。
配合飼料を100%使用しているため、アニサキスがほとんど寄生しません。最近言われているアニサキス症の心配が、ほとんど無いわけです!!

アニサキス 心配なし!

さて、このサーモンたち、今年の出荷はなんと5月中に終わってしまうのです。なぜ??
実は、サーモンは水温が20度より高くなると生きていけなくなってしまうのです。
小浜で養殖しているサーモンの種苗(稚魚)は、富士山の麓の生まれ。そこは、湧水なので水温が15度ぐらいです。だから、育てるにはなるべく15度に近い方がいいのだそう。

その結果、水温が18度ぐらいでおさまる5月中に出荷を終えて、次回は11月末頃からになるそうです。でも、12月半ばになると雪が降る可能性があるので、種苗を海に入れる作業はそれまでに終わらせないといけないとのこと。
ただし、出荷ができない時期でも加工して冷凍パックにしたものがあるので、販売は随時行っております。

元気に泳ぐサーモンを、生簀から網ですくい上げています!

ところで皆さん、サーモンの表面がぬるぬるしていることを知っていますか??
私も、今回獲ってきたばかりのサーモンを浦谷さんが絞める様子を見ていて、初めて気がつきました!
軍手をして作業をされているのに、何匹か締めていくとぬめりで滑るようでした。でも、このぬるぬるには意味があるんです。
浦谷さん曰く、「サーモンとか石鯛みたいにヌメりがあると、魚病になりにくいんやわ。」と。
また、鯖やサワラはほとんど鱗がないため、大変スレやすく繊細だと言われていますが、サーモンは鱗が少しあるため、スレにも多少強いそうです。
小浜の豊かな海で、サーモンはたくましく育っていますよ!

表面のぬるぬるには意味が

サーモンの美味しい食べ方は?

たくさんのレシピがあり、様々な味わい方ができるサーモン。子どもたちにも大人気ですよね。そんなサーモンの美味しい食べ方を、ずばり浦谷さんにお聞きしました!
その答えは・・・「やっぱり一番は刺身やね!」とのこと。
やはり、新鮮であればあるほど、刺身に勝るものはないのでしょうね。ですが、漁師ならではのお答えもいただきました。

身のついた骨は、あら汁のようにすると、無駄なく美味しく食べられるそうです。また、うす腹は塩焼きにすると美味しいとのこと。
さらに、鱗にはコラーゲンが入っているそうです!鱗がついていても、よく焼いたり揚げたりすることで、美味しく食べられるそうですよ。

鱗を取る場合は、包丁でしっぽ側から取ると綺麗に取れるということも、教えていただきましたよ。

さて、次は宇久で行われている「定置網漁業」についてのお話です!
宇久ではどのようなお魚がとれるのか、お聞きしました。アオリイカや、はまちなどの青物系、底物のひらめなどがとれるそうですが、取材した5月上旬頃は「ほうぼうの子持ち」が揚がってくるそう。さらに、その前まではサクラダイが揚がっていたそうです。
また、5月頃はトラフグが回遊してきて、産卵で若狭湾に入ってきます。「大きさはこれぐらい。」と、肩幅ぐらいの大きさを手で再現してくださった浦谷さん。「3kgとか4㎏とか入ってくるんですよ。」というお言葉に、お話を聞いていた一同「そんなに!」と驚きました。

ところで皆さん、定置網ってどんな漁法かご存知ですか?
浦谷さんの説明が分かりやすかったので、お言葉を借りて説明します。まず、バレーのネットのようなものを岸に向かってズドーンとはります。深さは海面から海底まで。そうすると、魚は少し音波を出しながら泳いているため、障害物を探知したら深い所へ逃げようという習性があるそうで、魚が逃げていく先に網が待ち構えている形になるのです。そして朝、泳いでいる魚を網で追い込んで、市場の時間に間に合うように出航するのだそうです。

ただし、定置網には入口がある分、そこから逃げる魚もいます!バレーのネットみたいな網を「かき網」とか「道網」とかいうそうですが、だいたいそこに当たった3割の魚しか獲れていないんだとか。乱獲にならず実は地球に優しい漁法ということで、今世界中から見直されていて、日本の網会社さんが海外に教えにいったりしているそうですよ!

ではでは、昔と比べて、定置網に入る魚は変わっているのでしょうか?
浦谷さんのお答えは、「断然変わった!昔は魚種が多かったね。」と。定置網だけでなく、底引きでも魚種が減ったそうで、昔たくさん獲れていた魚が全然獲れなくなっているそうです。
原因は様々あると思いますが、その一つとして、稚魚が育たない状況にあるのではないかと浦谷さんは思っておられるそうです。20年ほど前から、「サゴシ」と「サワラ」が増えてきて、けっこう獰猛(どうもう)な魚なので、小さなじゃこなんかを食べてしまうそう。
そう聞くと、サゴシとサワラは厄介者なの?などと思ってしまいますが…

「いやいや、サゴシは逆に年間ずっと安定した価格で取引できて、しかもちょっと高額なので、定置は今サゴシとサワラを獲ったら様々です!いかにたくさん獲るかです。」と浦谷さん。
なんでも、20年前には廃業寸前まで行き詰っていた福井のある定置網漁業では、サゴシとサワラが入るようになってから持ち直し、今や億越えの水揚げなんだとか!
確かに、サゴシもサワラも美味しいですよね。(今更ですが、サゴシはサワラの若い頃の呼び名です。)ちなみに、今はサワラの水揚げ高は福井県が1位らしいですよ。

いろいろなお話を伺う中で、こんなことも聞いてみましたよ。「今まで食べた魚の中で一番美味しかったものは?」この質問に、とてもいい表情で答えてくださった浦谷さん。
「今でも舌が覚えているが、冬に食べたマグロ。お正月休みに食べたマグロが最高に美味かった。」
とのこと。寒い時期だったので、脂の乗りが最高だったそうです。

では、そんな浦谷さんのおススメの料理法を聞いてみると・・・
「私らは新鮮な魚を獲る仕事なもんで、やっぱりメインは魚の刺身。料理法は・・・スマホで探した方が早いかもしれん(笑)」と答えてくださいました。
でも、「鯖の刺身は一番美味いで!まぁマグロも美味いけど、やっぱり鯖の刺身、小浜の鯖は美味い。」ともおっしゃっていました。小浜では今、鯖の養殖が2年目を迎えました。6月22日から出荷が始まりましたので、こちらもぜひ食べてほしいですね!

最後に、定置網漁と養殖の、それぞれのやりがいについてお聞きしました。
定置網漁は、今日は魚が少ないと思っていても、次の日にドカーンと魚が入っていて、びっくりするようなこともあるそうです。しかし、水揚げ高が不確定なので、経営しようと思うと浮き沈みが激しい分、難しい面もあるのだとか。
一方で養殖は、大体の売り上げ産出高が計算できるので、損益分岐点というのが確実に分かるそうです。
浦谷さん曰く、養殖は海の畑みたいなものなのだそうです。だから、「定置と養殖の併用も面白いかな。」と笑顔で話されていました。

取材・文:小浜市海のまちづくり未来会議